ゼロイチ起業ノート

スタートアップ、スモールビジネスを問わずにゼロイチ起業に挑戦、成功する人を増やすことで日本において起業という選択肢を当たり前にすることが究極的な目標です。

AbemaTVとクラシルから考えるビジネスの最先端を切り開くということ

サイバーエージェントのAbemaTVは最近何かと話題になることが多いサービスで、個人的に藤田社長は尊敬している経営者の一人であるため注目しています。

一方でAbemaTVに対しては2016年度で100億円の赤字、2017年度で200億円の赤字と大規模な先行投資を行うことに対して懐疑的な見方も少なくありません。2ちゃんねるの創設者のひろゆき氏はテレビ番組でAbemaTVが構造的に失敗すると話しています。

netgeek.biz

今回は最近盛り上がりを見せる動画Webサービスとそれに対する評論から感じたこと、考えたことをつらつらと書きたいと思います。

AbemaTVを展開する藤田社長のひろゆき氏への反論

ひろゆき氏がAbemaTVが失敗すると考えたのは、「サーバーは設備投資であり、一度投資してしまうとその後ずっとコストがかかり続けるためコスト的に継続が難しい」ということのようです。

これに対してはTwitterで藤田社長が下記のように反論しています。

昔はネットサービスを運営するにもサーバーを自宅に設置して運用していたために、サーバー費用がコストとして非常に重いものだったようです。Pixivの創業者である片桐氏はサーバーの費用に関して下記のように語っています。

2007年9月にpixivができて、すぐに人気になってしまったのでサーバーが必要で。でも、サーバーを買う金がない。銀行からお金も借りれないし、ベンチャーキャピタルも時間がかかりそうだし、どうしよっかなぁと思ったんですね。
そのときにネットを見てたら、Googleの初期サーバーが載っていたんです。それがもう、ベニヤの上にパソコンの部品を乗せてただけだったんですよ。これだったら、1台4万円くらいでできるなと思って。
でも、4万円もない。しかも必要なのは、10〜20台なので、4万円といっても、50万円くらい必要だったんです。それがないと、pixivを運営できない。
考えた末に、消費者金融を4社回って、200万くらいゲットしました。VCも銀行も時間がかかるじゃないですか。消費者金融はその日中なんで、現金を持ってそのままアキバへ行って、部品を買って。そして、サーバーを作ったんですよ。そして、消費者金融からの催促は無視する(笑)。これで半年間持ち堪えました。

logmi.jp

わずか10年前はサーバーを自前で準備する必要があり、アクセスが集中すればサーバーを増やして設備投資をして対応する必要がありました。またクラウドでのサーバーの維持費用はかなり安くなっています。

僕が素人ながら運営していた時代のUnistyle株式会社では、月額4000円弱のさくらVPSの4Gでピーク時の月間PV300万弱、年間登録者数3万人弱をさばいていました。そのため年間の売上に占めるサーバー費用は無視してもいいレベルでした。

現在はAWSであれば、サーバーを増やすのもクラウド上で少し操作するだけで可能になります。ビジネスの前提がどんどん変化しており、すぐに一昔前の常識が陳腐化するのがネット業界の面白いところであり、大変なとこだなと思います。

僕自身もクラシルのビジネスモデルに関して下記のようにコメントしましたが、delyの堀江さんによると実際には動画原価のコストはそこまで高くないようです。

ビジネスモデル的にはクックパッドというよりも、gunosyが近いのかなと勝手に思っており、他社の媒体を収集すればgunosyに比べると料理動画を内製する必要があるため、原価が高くなるので営業利益率はちょっと低めにでるのでは?と勝手に思ってます。

blog.zerotoone.jp

クラウド上で動画を提供するサービスが盛り上がり始めたのはここ数年であり、どの程度のアクセスまで耐えられるのか、どの程度のコストがかかるのかなど、最先端の知識というのはまだまだ共有されていません。このビジネスモデルが成功するかはわからない状況ですが、切り開いている当事者の彼らにしか見えてない景色が存在するんだろうなと思います。

 

ネットサービスがテレビCMをする時代を切り開いたのはグリー

今では資金調達した資金の当然の投下先としてテレビCMは当たり前の選択肢となりましたが、その時代を切り開いたのは個人的にはグリーだと思っていて、2008年5月にニュースリリースで初のTV CMを全国放映開始することを伝えています。

corp.gree.net

そこからDeNAも参入し、2010年には日経新聞でテレビCMに想定外の新顔が現れたとして、グリーとDeNAが花王やサントリーに匹敵する広告主として登場したことを驚きを持って伝えています。当時はリーマン・ショック後でもともとテレビ露出が盛んだったトヨタ、サントリー、花王などの広告主が広告費を絞る中で、非常に安い価格で広告出稿が可能だったという追い風もあり、広告効果は非常に高かったそうです。

www.nikkei.com

グリーやDeNAの成功体験もあり、当時から比べると広告出稿の価格は上がっているとかんがえられるものの、今ではネットサービスをテレビCMで宣伝することはマス層を安価に獲得する方法として認知されています。積極的にテレビCMを展開をしているグノシーはテレビCM効果もあり、アプリダウンロードのCPA(顧客獲得単価)が200円程度です。

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画像出典:Gunosy 2017年度第三四半期決算説明資料より

 

後から考えるといくらでも、「テレビCMはマス層にリーチするのに最適な手段で〜」とか「テレビCMによるCPAは実はリスティングより安いケースが〜」などなど後付でいくらでも言うことができるのですが、それもグリーがビジネスの最先端を切り開く行動をしたからこそだといえます。

前述のAbemaTVとクラシルの例を見ていても、今後のスタンダートになるようなビジネス・施策に関わり、最先端を切り開いていくのは苦しいながらも、経営者・ビジネスマンとしては非常に面白いこと、幸せなことだろうなと思います。

最後に

僕自身は行動することが全てで評論家はダメだとも思いません。実際にひろゆき氏がAbemaTVについて語ってくれたからこそ、いやいや実際はこうなんですよと、当事者である藤田さんからの発言が得られて社会的に認識が広まった結果となったと思っています。個人的にはビジネスの話は趣味であり、こういったやり取りには知的好奇心が刺激されるので、非常にありがたいし今後も活発に評論家と当事者が適切にコミュニケーションしてほしいと思います。

一方でそれでも僕としてはビジネスに関わるのであれば、当事者として小さな領域でもよいので切り開く側にいたい気持ちが強いです。このネット動画領域については僕自身は評論家になってしまいがちですが、今後もビジネスの行方を楽しく見守りたいと思います。