ゼロイチ起業ノート

スタートアップ、スモールビジネスを問わずにゼロイチ起業に挑戦、成功する人を増やすことで日本において起業という選択肢を当たり前にすることが究極的な目標です。

ブラック企業ほどビジョンを大事にする

厚生労働省は長時間労働や賃金不払いなど、悪質な労働関連の法令違反をしたブラック企業リストを公表し、今後は毎月更新することを発表しました。

www.huffingtonpost.jp

 

近年では雇用環境が回復しつつあり、雇用環境の改善とともに劣悪な労働環境で労働者を搾取している、いわゆる「ブラック企業」に対する批判が強まっています。ベンチャーやスタートアップも「ベンチャーだから」という理由を免罪符に悪い労働環境が横行しているように思うとともに、そうしたブラックなベンチャー・スタートアップほど綺麗な「ビジョン」を大切にしてるように感じたのでまとめてみたいと思います。

 

ホワイトな企業はビジョンを気にしない

僕は新卒では総合商社に入社したのですが、この会社のビジョンを気にして働いている人は多くありませんでした。同様に外資系投資銀行や外資系コンサルなどの企業に就職している知り合いたちも、ビジョンについて特に気にしているようには思えません。

ビジョンがないからと言って、やる気がなく怠惰に仕事をしているわけではなく、仕事を楽しんで、成果もあげているように思います。少なくとも離職率は低く、満足度もベンチャー企業に比べても高いものがあると思われます。

結局、待遇がよく、仕事も面白い会社はビジョンを気にしなくても従業員は自発的に働いてくれるということだと個人的には思っています。

 

ブラックなビジョナリー・カンパニー

スタートアップやベンチャー企業の社長ほど、「ビジョナリー・カンパニー」に影響されてか、ビジョンを熱く語るように思います。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

 

一時期ブラック企業の代表格として扱われてしまっていたワタミグループですが、ここもビジョンを全面に押し出す会社として有名でした。「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というワタミグループの理念については聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

bookfort.hatenablog.com

 

なぜブラック企業は理念を大切にするのか

ブラック企業が理念を大事にするのは、それがブラック企業本体にとって経済的に合理的であるからと考えられます。

採用に効果がある

一つ目の理由は採用に効果があるというものです。給与も高くない、福利厚生も充実していない、働いている人も大手企業に比べると優秀ではない人が多いなどなど、スタートアップ・ベンチャー企業には様々な「ない」に溢れています。それでもビジネスを成長させていく上では、人材、それもできるだけ優秀な人材を採用することが不可欠です。ないない尽くしのスタートアップ・ベンチャー企業ですが、「理念」については無料でほとんどコストをかけることなく作ることができます。

ビジョンや築きたい未来を全面に押し出し、「大変なこともあるけど一緒にそのビジョン達成に向けて働こう!」ということでイケてる会社感を出すことができ、採用にはかなりプラスになるといえます。

 

長時間労働や低い給与に対する免罪符・モチベーターとしての機能

そうしてビジョンを全面に押し出して採用した上で、今度は入社してからの長時間労働や低い給与に対する免罪符としてビジョンは機能します。「入社前からビジョンの達成に向けて苦労をともにしようと言ったじゃないか」といった形で入社してきた人たちを説得する上でもビジョンが有効活用されます。

ビジョンを全員に浸透させ、全員がそのビジョン達成のために動いている姿を見せることで新しく入ってきた人たちのモチベーションを高めるための役割も果たしています。

 

一人あたり売上高の低い労働集約的な企業がビジョンを掲げやすい

上記の通り、「ビジョン」を掲げることは人を採用しやすくして、長時間労働をある種自発的に社員が行うように仕向けることができます。そのため大量に採用を行う必要のある労働集約的なビジネスを行っている飲食店、人材業界などにビジョンを掲げるインセンティブが働きやすくなります。

 

そうはいってもホワイトなビジョナリーカンパニーは素晴らしい

「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。Googleと同様にfacebookも「共有を広げ、世界をもっとオープンにし、人々の繋がりを強める」という理念を持っています。

どちらの企業も世界的な人気企業で、給与も高いことが知られています。

www.co-media.jp

このようにビジョナリーなホワイト企業はやっぱり組織としても強く、働く環境としても素晴らしいといえます。

 

Googleもfacebookも最初からビジョンがあったわけではない

勘違いされがちですが、Googleもfacebookも最初は大学生の趣味的な活動から始まっており、最初から壮大なビジョンを掲げてきたわけではありません。事業を続ける中で上記で掲げたビジョンを明文化してきたものだと思われます。徐々に徐々にビジョンを明文化していくことがやっぱり大事で、採用したい・従業員の離職を食い止めたい、コストをかけずにモチベーションをあげたいなど短期的な合理性のもとにビジョンを作ってしまうのは不幸を生む可能性が高いのかなと思っています。

 

結果×ビジョンではじめて人を引きつける効果がある

出会い系アプリ「Pairs」を運営するエウレカの創業者である赤坂さんも、ビジョンについてこのようなことを語っています。

結果×ビジョンには、多くの人を引き寄せる力があります。しかし、結果がともなっていないビジョンを社外で語るのはビッグマウスになるだけです。
ビジョンを語っている暇があったら、結果を出すための時間に費やしたい。エウレカの場合、何かしらの結果が出るまではメディア露出や交流会、イベントにも行きませんでした。その代わり、西川と「辛いね…」と言い合いながらお酒を呑んだり、気分を変えて社員たちと飲みに行ったりしていました。社員たちとの飲み会で「会社が楽しいです!」と言われて、「そっか。じゃ、餃子も頼んでいいぞ!」と小さく喜ぶ日々を淡々と重ねていた気がします(笑)。

thefirstpenguin.jp

個人的にはすごくしっくりくる内容で、売上もあげてない、結果もでていない企業がいきなり壮大なビジョンを掲げることには違和感を感じています。 

 

最後に

創業経営者として、個人的に売上規模も大きく、多くの従業員を雇っている企業について憧れと尊敬の念がある一方で、そういった会社がブラックな待遇で従業員のモチベーションも低い現状をみてしまうと、そういう会社を個人として作りたいのかなということは考えてしまいます。僕としては「3人で1億円の売上がある会社はハッピー」というこの本に書いてあるような会社を作りたいと思う傾向が強いです。

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「どんな会社を作りたいか」という問については僕自身としてもまだ明確な答えが持てていません。今後ブラック企業やいいと言われる会社をよく見ながら、また自分としても会社を経営、立ち上げながら考えていきたいと思います。