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ゼロイチ起業ノート

スタートアップ、スモールビジネスを問わずにゼロイチ起業に挑戦、成功する人を増やすことで日本において起業という選択肢を当たり前にすることが究極的な目標です。

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』で学ぶ起業家のリスクの取り方、実は起業家はリスクが嫌い

現在、社会人として企業に勤めながらも「起業」することに興味がある人にオススメしたい本の一つに『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』があります。 

ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (単行本)

ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (単行本)

 

 本書はペンシルベニア大学のアダム・グラント教授が「起業家やオリジナルな個人は実は普通の人であり、少し考え方を変えるだけで誰もが創造性あふれるオリジナルな人になれる」ということを既存の思い込みを潰しながら説明した本です。

 

最近読んだ『逆説のスタートアップ思考』と合わせて既存の起業家に対する思い込みを払拭してくれるので、起業には興味があるけど自分には自信がちょっとないなという人はぜひ読んでみてください。

blog.zerotoone.jp

 

リスクを嫌い、アイディアの実現可能性に疑問を持っている人の方が成功しやすい

起業家というと徹底的にリスクを取ることを好み、自分自身のアイディアを信じて成功を確信していると思う人が多いかもしれません。グラント教授はこの思い込みをこのような研究を用いて否定しています。

 

「起業をする際には、本業を続けるのとやめるのではどちらがいいと思うか?」という単純な質問をするのだ。二人は1994年〜2008年のあいだ、起業をした20〜50代の5000人以上のアメリカ人を追跡調査した。

(中略)

調査をまとめると、起業に専念することを選んだ人は、自信に満ちたリスク・テイカーだった。

一方、本業を続けたまま起業した人は、リスクをなんとか避けたがっており、自信の程度も低かった。

たいていの人は、リスク・定価ーの方が明らかに有利だと予測するだろう。だが研究の結果は逆だった。本業を続けた起業家は、やめた起業家よりも失敗の確率が33%低かったのだ。

 

僕自身も起業を志望する人の多くが、起業をするのであれば大きなリスクを冒して成功の自信のあるアイディアで邁進すべきと思いこんでる節があるなーと思い、そういった人にはこの本のこのエピソードを話すことが多いです。

僕自身も起業する際には、いきなり起業するのではなく、本業であるサラリーマンを続けながらブログでどの程度考えてる事業の需要があるのかと、見込み顧客の獲得を実践してました。

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創業したときもこのアイディアで確実に絶対にいけるという確信よりも、致命傷を負わないように事業を継続しながらどうすれば成果がでるのかわからないながら試行錯誤していたのを思い出します。

起業家がリスクを嫌うエピソードとして、本書では下記のような実験の結果も紹介しています。

 800人以上のアメリカ人を調査したある有名な研究では、起業家と働く成人を対象に、次の3つのうち、どのベンチャー事業をやってみてもいいと思うかを選んでもらった。

(A)成功の確率が20%で、500万ドルの利益をもたらす事業

(B)成功の確率が50%で、200万ドルの利益をもたらす事業

(C)成功の確率が80%で、125万ドルの利益をもたらす事業

起業家は最も安全な(C)を選ぶ確率が一般の人よりも明らかに高かった。

一般的な起業家のイメージは(A)を好んで選択すると思われますが、研究の結果から起業家はリスクを嫌うことが明らかになっているそうです。ちなみに私自身も(C)を選ぶタイプの人間です。

 

起業家はリスクのポートフォリオを構築する

起業するような人もリスクを恐れて本業を続けながらリスクを軽減させていますが一方で、大きな成功を収めている起業家が一般の人と少しだけ異なる点を、本書では「リスクのポートフォリオ」という概念で紹介しています。

つまり「ある分野で危険な行動をとろうとするのなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めようとする」ということです。

事例としていくつかの有名な起業家たちが実はリスクを軽減する行動をとっていたことをあげています。

マイクロソフトの創業のためにハーバード大学をやめたことで知られているビル・ゲイツも実は、退学はせずに休学届を出して大学に戻る手続きをしていたそうです。アップルをジョブズとともに創業したウォズニアックはアップルコンピューターを発明したのちも1年間はヒューレット・パッカードでエンジニアを続けていたそうです。グーグルを創業したラリー・ペイジセルゲイ・ブリン検索エンジンの開発が学業を妨げていることを心配して2億円以下の金額で売却しようとしていました。

僕自身も、将来的な起業を見据えて勤務時間の前後を新規メディア立ち上げのための実験という形で時間を使っていました。起業をしたいと思っているものの、このアイディアでしっかり収益が出るのかは未知数だったこと、本業である会社員を続けることで、就職活動メディアにはプラスになることも多いことから、サラリーマンを続けながらサイドプロジェクトとしてブログ運営を続けるという形を取っていました。

 

成功の秘訣は大量のアイディアを生み出すこと

起業するような人はもともと独創的で、オリジナリティのあふれる考え方をもともと持っているのではないかと考えてしまう人も多いと思います。本書ではこの考え方についても様々な事例や研究から否定しています。

 

ある分野における天才的な創作者は、同じ分野に取り組む他の人達よりも、特に創作の質が優れているわけではない、という。ただ、大量に創作すると、多様な作品が生まれ、オリジナリティの高いものができる確率が高くなるのだ。 

 

シェイクスピア、ベートーベン、ピカソエジソンアインシュタインなど多様な領域で活躍した人たちを分析しても、著名な作品や成果を生み出している一方で、多数の平凡な作品や特許を残しているとのことです。本書にも、「マイナーな製品が最も多く創作された期間は、メジャーな作品がもっとも多く創作された期間と同時期であることが多い」とあるように、結局成功をつかむ上で最も重要なことはできるだけ多くのアイディアを生み出すことであるということが言える。

起業や事業の成功を語る上でもこれは当てはまると個人的に思うものの、難しいのはやりきったといえる撤退ラインの設定だと思っています。取り組んでみて失敗してしまったけど、実はもう少しだけ粘って継続したら成功した可能性もあります。

限られたリソースの中でヒト・モノ・カネをどこにどう配分するのか、その上で失敗したとしても再チャレンジが可能な状態にすることが企業として継続する上で重要なことになるなと最近は感じています。

 

ベンチャーキャピタルポートフォリオを組んでいる

個人的に資金調達をしないまま、バイアウトした経験からベンチャーキャピタルに手をだすのはリスクが大きいと思っています。ベンチャーキャピタルはそれ自身でポートフォリオを組んでいるため、投資先の企業に対しては一つの事業に対して再起不能になってもいいから全力でやることを推奨しているように感じてしまいます。(もちろん積極的にピボットすることを推奨するキャピタリストもいるかと思いますが。)

複数の投資先に分散して投資を行うことができるベンチャーキャピタルであれば、ベンチャーキャピタルとしてポートフォリオを組み、一つ一つの投資先は潰れてもいいから全力でやってもらうのが合理的です。一方で投資を受けた起業家はベンチャーキャピタルの資本を入れることで、多数のアイディアをためすよりも目の前の事業に全力で賭けることを求められます。既に成功への道筋が見えているのであればベンチャーキャピタルのお金で時間を短縮する選択もよいでしょうが、そうではない試行錯誤の段階ではできるだけ資本は入れず、会社化もせずに様々な可能性を探るのがよいだろうと個人的には思っています。

 

最後に

近年は起業するといっても資本が必要ないことも多く、新しいビジネスが多数生まれていること、また転職がある程度一般的になってきたこともあり、起業して失敗してもやり直しが効く世界になったと感じています。個人的にはリスクを大きく取りすぎずにコントロールしながら、時には生活の保証を確保しながら、何度も挑戦することで大当たりを引くという生き方を今後もしていきたいなと思ってます。