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ゼロイチ起業ノート

スタートアップ、スモールビジネスを問わずにゼロイチ起業に挑戦、成功する人を増やすことで日本において起業という選択肢を当たり前にすることが究極的な目標です。

「逆説のスタートアップ思考」に学ぶ愛されるプロダクトの生み出し方

休みを利用して「逆説のスタートアップ思考」を読んだのですが非常によい本でした。 

逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)

逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)

 

僕自身は資金調達を前提にしたスタートアップごっこや会社ごっこ、その会社同士の馴れ合う姿に違和感を感じてる人間ですが、この本は純粋によいプロダクトを生み出すための知識が詰まったよい本でした。この本で学んだ愛されるプロダクトの作り方について備忘録的にメモしておきたいと思います。

1.やりながら情熱が生まれる

僕が起業したいという人の相談を受ける時に最も多いのが「何をすればいいかわからない」というものです。起業という生き方には憧れるものの、起業をするためのアイディアがないという相談です。これに対して、逆説のスタートアップでは「やりたいことはやってみないとわからない」として、『20歳のときにしっておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』の一説を以下のように紹介しています。

 

「行動してはじめて情熱が生まれるのであって、情熱があるから行動するわけではない、ということです。情熱ははじめからあるわけではなく、経験から育っていくものです。バイオリンの演奏を聞いたことがなければクラシック音楽は楽しめないし、ボールを蹴ったことがなければサッカーはうまくなりません。卵を割ったことがなければ料理好きになれないのです」 

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

 

 僕自身、起業する時にはいくつかの分野で同時並行的にブログを書きました。一つが就職活動関連のブログで、もう一つが金融・投資関連のブログです。結果として情熱が長く続き、アクセス・収益という結果も出た就職活動関連のブログを事業化することにしましたが、やる前から就職活動に関して高い問題意識などがあったわけではありません。ブログを書きながらどういった情報をユーザーが求めているのか理解し、どうすればもっといいものになるのか徐々に情熱が生まれてのめりこんでいきました。

というわけで、起業したいけど何をすればわからないという人は取り敢えず興味の持てる分野や自分が得意そうな分野で行動するのがよいと思います。リスクを最小限にするのであれば、下記も参考に興味のある分野のブログを書き始めることをオススメします。

blog.zerotoone.jp

 

2.大きな負けを避けながら試行回数を最大化する

起業や製品を生み出す世界は事前に何がヒットするのか誰にもわからない世界です。やる前から誰もがいけると確信していたものが外れることもあれば、誰もが失敗すると思っていたような馬鹿げたアイディアが大ヒットすることもある世界です。そのような不確実性が高い世界において成功する一番の方法は「大きな負けを避けながら試行回数を増やすこと」だといえます。単純ですが「試行回数×成功確率=成功回数」であり、成功確率を高めるのが難しいのであれば試行回数を増やすことが大切です。

社運をかける、背水の陣など追い込むことを良しとする人が結構多いと感じていますが、一度にリスクを取りすぎて失敗したら致命傷を負うことは避けなければいけません。一度の失敗のコストは小規模かつ予測可能な範囲に収めることが大事です。

僕自身が起業したときも失敗しても致命傷にならないよう借入なし、全額自己資本で更にブログで予め想定顧客を多数囲った状態でスタートすることでリスクを最小限に抑えていました。

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1度の失敗で致命傷を負わず何度も挑戦できる環境を整えながら、試行回数を増やすというのが成功のためには大事だと僕自身も思っています。

 

3.まずはサイドプロジェクトで小さく始める

何かを始めたいときは本業とは別のサイドプロジェクトとして始めることがよいというのは僕自身の経験からも同意できます。僕自身も総合商社に勤めながら、趣味の範囲で行っていた就職相談をブログにしていたものを事業化しました。何かを始めたいとなると意気込んで会社を辞めて新しく会社を作るといったように大きなリスクを取ろうとしがちですが、思いとどまって最初はサイドプロジェクトから始めることをおすすめします。

本書の中でも、ポール・グレアムの言葉を以下のように紹介しています。

「最も成功したスタートアップの歴史を見てみると、そうしたスタートアップは創業者たちにとっての興味深いサイドプロジェクトとして始まり、自然と成長してきたことがわかるはずだ。Appleも、Yahoo!も、Googleも、Facebookも全部そうやって始まったんだ」

たしかに会社化してから製品を作ろうとすると、会社を生き残らせるためにすぐにお金になるアイディアに飛びついてしまいがちです。まずは副業的にサイドプロジェクトとしてはじめてスケールするのが見えてきた段階で、会社化して本業とするのがよいといえます。

 

4.人が欲しがるものを作る

起業しよう、製品を作ろうとするとどうしても「自分が作りたいもの」や「誰かがきっと欲しがると決めつけているもの」を作ってしまいがちです。本書で紹介されていますが、スタートアップの失敗を分析した調査では、失敗の理由として最も多かったものは「市場にニーズがなかった」だったそうです。

情熱のある人ほど、「自分が作りたいもの」に固執してしまう傾向にあると思っており、これは注意が必要だと思っています。こちらのブログでもKaizen Platformの須藤さんの言葉を紹介していますが、ニーズを考える上では、「誰の」、「何の予算を」、「何と比較して」ひっくり返すのか考えると考えやすいです。

blog.zerotoone.jp

 

5.必ずしも「はじめての○○」である必要はない

起業のアイディアなどを話していると、世の中にまだないサービスを考えようとする傾向が強いのですが、その方向性で考えると4で紹介したとおり、ニーズのない製品になりやすいです。本書でも書かれているとおり、Facebookは10番目に登場したSNSであり、Googleは13番目に生まれたサーチエンジンでした。僕がインターネットに触れた時にはGoogleは存在していましたが、みんなYahoo!の検索を使っていました。

競合や先行者がいるということは、その市場にニーズがあることであり、上記で紹介した「誰の」、「何の予算を」、「何と比較して」の3要素が既に揃っていることになります。後発で始めたとしても、小さな市場から徐々に独占していくことで、先行者を抜き去ることも十分可能なことを、ハーバード大学生限定からスタートしたFacebookは証明しているといえます。

「まだ世の中にないはじめての○○」にこだわりすぎてしまう人はこの点も留意しておくとよいと思います。

 

6.とにかくローンチ

成功するためには試行回数の最大化が重要なので、想定する顧客とそのニーズに応えられるものが思いついたら素早くその仮説を検証する最小限の製品をローンチしてしまうべきです。本当に最小限の機能しか持たないプロトタイプを想定するごく少数の顧客に提供してフィードバックをもらうことで本当に製品の需要があるのかわかります。

僕自身が就職活動関連のサービスを立ち上げる際も、「就職活動生は情報に飢えている、それも企業よりの情報ではなく就職活動生のことを第一に考えた情報を」というのが根本的な仮説としてあり、それをブログという最小限のプロトタイプで検証していきました。

本書にもありましたが、「最初のリリースが恥ずかしいものでなければローンチが遅すぎる」ということです。せっかくやるなら完璧にいい製品を作りたくなってしまいがちですが、最初期にやるべきことはそもそも製品のニーズがあるのか検証することです。なのでできるだけ早く最小限の機能だけがあるプロトタイプを作って、実際に顧客に触れてもらうことが大事です。

最後に

本書はスタートアップだけでなく、起業を考えている人にはぜひ読んでほしいと思える内容でした。一方でそれは僕自身がサービスを立ち上げて起業したから感じることなのかもしれないなとも思いました。「起業家はリスクを最小化する」、「恥ずかしい製品でいいからとにかくリリースする」など直感に反する内容が書いてあるので、「起業」に対する固定観念が固まっている人には読み進めにくい本かもしれません。それでもこの本はバランス良くサービスを作るための真実が書いてあるのでぜひ手にとって見てほしいと思います。

 

逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)

逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)