ゼロイチ起業ノート

スタートアップ、スモールビジネスを問わずにゼロイチ起業に挑戦、成功する人を増やすことで日本において起業という選択肢を当たり前にすることが究極的な目標です。

起業に成功して手に入れたいのは夢か金か自由か名誉か

起業して成功することで得られるものとして、大きく分けると夢、お金、自由、名誉の4つが挙げられると考えています。

この4つの中の優先順位を持っておくことは起業の方法や形式、ゴールを考える上で非常に大事なことだと思っています。もちろん起業する前と後で変化することもあるので定期的に向き合うことが大事だと思っています。

最近、ブログやTwitter経由で起業相談を受けていますがこの4つのうちどれが最も手に入れたいものなのかお互い共有できてから話を始めた方がいいと思うことが多かったのでブログとして整理したいと思って書いています。

ビジョンの実現のために起業するだけじゃない

最近のスタートアップの盛り上がりから、夢を重視する起業家しか認めないという風潮が強いように感じますが、一方でビジョンやミッションなんて決まってないけど「起業したいから起業する」って人も少なくありません。僕らも起業したい、その中でできることかつお金を稼げそうな事業領域を選択して起業したというのが僕らの起業の実態です。

「事業プランがない」「アイデアがない」「やりたいことがない」というので悩んじゃう人は多くいるようです。
しかし、起業する上で、事業プランとかアイデアとかはそんなにいらないんじゃないかと思ってます。そもそも、「やりたいこと=起業」というパターンの人は結構いると思うんですよね。

thefirstpenguin.jp

起業する人が日本に比べて多いと言われるアメリカでは、大金を手に入れたい、自分にも出来ると考えて起業する人も少なくないようです。日本に比べてM&Aの件数が多く、より起業の出口を意識しやすい環境が、起業の絶対数の多さを支えているのかもと最近は考えています。

「2007年ってさ、数億円から十数億円でスタートアップ企業が買収されたというニュースがTechCrunchに飛び交うようになった時期なんだだよね。希薄化とか持分とかって話もあるけど、それでも創業者が手にするお金って数億円でしょ? 23歳にしてみたら、それって聞いたことのない大金だった。だから、そういうのを見て、ぼくも『Why not me?』って思ったんだよね」(エドワード・キム氏)

jp.techcrunch.com

ビジョンや夢の実現のための起業でなくてもいいのですが、それじゃあ何を重視して起業という選択肢を取るのかってことは考えた方がいいと思います。それでは起業で得られる4つのものについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

起業で得られる4つと適した起業形態

それでは、夢、お金、自由、名誉のそれぞれについて、適した起業の形態について、主にVCから調達をするべきか、スモールビジネスでもいいのかを考えていきたいと思います。

夢、やりがい、ビジョンの実現

実現したいビジョンやどうしても関わりたい領域があり、自分なりの解決策で起業したい人はこれを最も重視する傾向にあると思います。自分自身の原体験に基づく事業や、専門的な領域で起業する人がここの実現を目標に起業していると思います。最もイメージしやすい起業家像の一つではないでしょうか。

一方で本当は金、自由、名誉など他の項目が大事なのに、見栄えを気にして夢やビジョンを語ってしまいがちな起業家も少なくないので、この項目が一番大事だと思っているなら本当に自分はそうなのか、問いかけることは本当に必要なことだと思います。

 

適していると思われる起業形態

「夢」やビジョンの実現について、短期間で達成したい、アドバイスを受けて大きく育てたいのであれば、経験豊富なVCからの資金調達は一つの有効な手段であるように思います。一方で10年、20年かけても取り組み続けたいと思える分野で、関係のない他者にあれこれ言われたくないのであればVCから調達する必要はなく、スモールビジネスとして地道に成長させた方がよいかもしれません。VCから調達するということはビジョンの達成の妨げになることもあるのでそのことを踏まえた上で、信頼できるキャピタリストと出会えたら投資をうけるというのがいいかもしれません。

金、サラリーマンでは得られないレベルの金銭的成功

起業というと金儲けのためとネガティブなイメージを持っている人も少なくないし、実際に起業で成功することにより、多大な創業者利益を得ることができるのも事実です。

一方で金のために起業しようとすると、世間のネガティブなイメージどおりの金のために誰かを騙すこともいとわない起業家に気づかずに邁進してしまうことがあるので注意が必要です。アフィリエイトプログラムで意味のない情報商材や投資系の情報商材を子飼いのメンバーに販売させる形式の起業などがそれに当たります。

適していると思われる起業形態

お金が一番の目的であればVCからの調達を行うのは合理的な判断であるように思います。なぜならVCも最終的には期限以内にExitすることで投資回収を行う必要があり、短期間である程度の金額がほしいというお互いの利害関係が一致しているからです。ただし、残念なことにお金儲けが目的の起業家に投資したいというVCは皆無なことは注意が必要です。

一方で自分自身の経験や周りの起業家を見ていると、1億円ぐらいのキャッシュインでいいのであればVCからの調達は足かせになるケースもあるかもしれないと思っています。個人の創業者としては1億円のキャッシュインがあればハッピーなケースは少なくありませんが、VCにとっては創業者が1億円のキャッシュインするようなスモールビジネスはVCにとってはありがたくないケースも少なくありません。VCのビジネスモデルとどの程度の規模のビジネスを狙っているのかは下記を読むといいかもしれません。

medium.com

自由、時間・事業への関わり方の自由

サラリーマンが労働契約に基づき給与が支払われるのに対して、起業家・経営者は結果に対して給与が支払われるので、ある程度働き方は自由に決めることができます。もちろん成果に応じて自分の生活が決まるため、強迫観念からワーカホリックに陥ってしまう起業家や個人事業主も少なくありません。自由が欲しかったはずなのに結果に対する強迫観念からいつまでたっても自由になれないケースです。

適していると思われる起業形態

自由が欲しいのであれば、VCからの投資はせずに自分で事業を営むのがよく、フリーランスなどの個人事業主やスモールビジネスオーナーという選択もありうると思います。VCからの投資を受けるということはその時には身の丈に合わない資金を調達するということであり、その代償として無理な成長およびVCからの一定の支配を受け入れるという契約でもあります。

この志向が強いにも関わらず調達をしてしまうとその自由度の低さに耐えられないケースもあるように思います。

名誉、他者からの賞賛

サラリーマンが一会社の中で黒子的に生きていくことが多いのに対して、成功した起業家・経営者は対外的にも内部的にも賞賛されることが多いでしょう。一方でこの名誉や他社からの賞賛ばかりが目的になり、講演会やセミナーにばかり登壇して事業内容がボロボロな企業も多いように感じています。知り合いの起業家もよく講演会やセミナーに登壇する企業は突き抜けて成功している企業かまったくうまくいってない企業に綺麗にわかれていると話していました。

適していると思われる起業形態

名誉、他者からの賞賛が欲しいケースであれば調達を行い、スタートアップ界隈で認められることで一定の欲求は満たされるかもしれません。これもVCは起業家の名誉欲を満たすために存在しているわけではないので、これが一番の目的だと投資を受けることすら難しいでしょう。

一方で昨今のスタートアップ界隈では、資金調達が一つの目的としてあり、資金調達するためにピッチではどう振る舞うべきか、VCに受けるビジネスモデルは何かを一生懸命探して、投資を受ける起業家も少なくないように感じています。僕としてはあまり好きな形態の起業ではありませんが、周囲の学生起業家を見ていると、最初は資金調達が何となくの目的だったとしても事業を実際に運営して経験するうちにビジネスとして必要な考え方が短期間で身につくケースもあると感じています。

未熟な起業家の僕が重視するのは自由とお金

未熟な起業家である僕がこの4つの優先順位を考えると、①自由>②お金>>>>③夢>>>>>>>>>>>④名誉の順番になります。

僕としては自分の人生をコントロールすることができる「自由」というものが最も強い価値観としてあり、本当に自由になるためには金銭的に自由になることも必要だと思うため、「お金」も大事な要素の一つになります。

夢や実現したいビジョンについては、①と②の次に重要なものですが、今の自分は実現したいビジョンに出会えているわけではありません。そもそもの考え方として、多くの偉大な起業家も最初から偉大なビジョンがあったわけではなく、事業が大きく成功する中で偉大なビジョンが明確になったのだと思っています。マーク・ザッカーバーグですら、最初からfacebookの偉大なビジョンを持って起業したわけではなく、facebookが成功するに従って偉大なビジョンに出会ったと言われています。

僕の現状は、壮大なビジョンを語る段階ではなく、小さな実行と成功を繰り返し、ビジョンに出会うまでのプロセスを楽しむ段階だと捉えています。小さな実行と成功を繰り返す上で、僕としては①自由と②お金が手に入ることはモチベーションの源泉になると感じています。

ちなみに僕は名誉についてはこの4つの中で最も軽視しています。なのでこれまで大きくメディアに掲載されることも、自分の事業に繋がらない講演会・セミナーなどに積極的に参加することはありませんでした。スタートアップ関連メディアに取り上げてもらいたいという気持ちはゼロではないので、まったくいらないというわけではなさそうですが笑

最後に

何か大事な決断する時には「判断軸と価値基準」をはっきりさせることを僕自身は重視しています。起業というリスキーな選択をする前に、自分が起業することによって得たいものは何なのかということによく向き合う必要があるなと思います。

就職も転職も起業も、キャリアの大きな選択という意味では一緒ですが、その時にどのような判断軸を持っていたのかクリアにすることは、選択後の行動をクリアにしてくれます。起業というキャリアの中で重要な選択をする上で、リスクを受け入れてどのようなリターンを得たいのか真摯に向き合うべきだと考えています。

起業を志すなら「小さなチーム、大きな仕事」は必読、起業はスタートアップだけのものじゃない

僕が好きな本の一つがRuby on Railsの生みの親である37signalsの2人の本であるこの本です。

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

  • 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/01/11
  • メディア: 単行本
  • 購入: 21人 クリック: 325回
  • この商品を含むブログ (36件) を見る
 

起業した1年目〜2年目のうちに読み、納得のいった本の一つで、また次の起業をしようと考えているので再度読み直しました。

今日はこの本で紹介されている内容について自分への戒めも含めてメモ的に残しておこうと思います。

 

会社の規模なんて気にしない

ハーヴァードやオックスフォードを見て、「もっと手を広げ、たくさん姉妹校を作って、何千人もの教授を雇って、グローバル展開して、世界中にキャンパスをオープンしたら、すごい学校になるのに」なんて言うだろうか。もちろん言わない。それが大学の価値を測る方法ではないからだ。ではなぜビジネスでは規模で測られるのだろう。

(中略)

小さなビジネスを目指すことに不安を抱かなくていい、持続的で、利益の出るビジネスを行っていれば、それが大きかろうと小さかろうと誇るべきことなのだ。

起業というとどうしても、起業する人も外野から見てる人も、調達金額や会社の規模に注目してしまいがちだけど、小さなチームでちゃんとした利益をあげることが大事じゃないの?ってことをシンプルに伝えている良著です。起業している人も起業を志している人にもぜひ手に取ってもらいたいと思っています。

ビジネスでは誰もが規模の拡大を志しているように感じるけど、「小さいことは通過点ではなく、目的地でもある」という言葉がこの本にかかれている通り、小さな規模の中で必要十分な利益をあげつづけるのは立派なゴールの一つです。

借金玉さんも事業の規模を拡大せずに社内の人間が満足できるだけの利益を配分できる会社を作った経営者を「勝利者」としています。

実際、十分な利益をあげ、大きな成長余力を有しながら、それでも従業員の数や事業の規模を頑なに拡大しない経営者は存在します。彼らは正に勝利者です。自分の会社の最も居心地の良い大きさを見つけ、後はそれを守っていくフェーズに入った人たちです。規模を志向しなくとも十分な利益が取れて、かつ社内の人間や出資者がみな満足するだけ配分できる会社にのみ許される最高の贅沢です。

new.akind.center

起業したら拡大し続けないといけないと思いこんでる人が多いのですが、適正な規模にとどまり利益を享受し続ける体制を構築するってのは目的の一つになりえます。僕自身も次回の起業も売却を前提にしながら、売却できない場合にはオペレーションがちゃんと回る体制を整えて一つの事業として無茶な拡大戦略を取らずに持ち続けることも選択肢の一つとして持っています。

外部の資金は最終手段 

資金を外部の人間に頼るなら、彼らに応える必要がある。みんなが賛成している間はともかく将来はどうだろう。他人の注文をこなすために自分のビジネスをスタートさせるのか?資金を調達すれば、あなたのビジネスではなくなるだろう。

スタートアップの周辺では、資金を調達することが一つのゴールになっているように感じることがあります。ですが資金調達はあくまで起業を成功に導くための手段に過ぎず、そして他人の資本を入れるということはその分成約も大きくなります。

本書では資金調達は最終手段としてそのデメリットを挙げているを以下のようにあげています。

①コントロールを失う、②良質のビジネスの構築を妨げる、③他人の金は癖になる、④基本的に不利な取引になる、⑤顧客が後回しになる、⑥資金調達に注意をそらされる

資金調達に関しては、何度か紹介しているグロービスの高宮さんの、「VCからのファイナンスは、“悪魔との契約”だ」という言葉が個人的にはしっくりきています。

thefirstpenguin.jp

僕自身がVCからの資金調達を敬遠してしまう理由の一番大きなものが、「コントロールを失う」という部分です。僕は自分の人生をコントロールしたい欲求が強く、そのため仕事も自分が納得できることになるべく時間を割きたいと思って、リスクを受け入れて起業しようとしています。それなのにVCから資金調達をすることで、コントロールを失ってしまうのは本末転倒だと感じてしまいます。一方で、短期間で事業を成長させるためには多額の資本が必要だったりするので、事業内容と目指す方向性によっては資金調達も手段としてはありだと思います。

スタートアップではなく企業をはじめよう

スタートアップは、避けられないこと(すなわち彼らのビジネスが成長して利益を上げ、本物の持続可能なビジネスにならなければならないこと)をできるだけ後回しにしようとする人々によって経営されている。

スタートアップを始めようとすると、最も重要などのように利益をあげるのか、つまり売上と経費のバランスを取るのかという部分を忘れてしまいがちです。とにかくユーザーが集まれば利益は後からついてくるという考えがスタートアップ界隈では多く、成長のためにJカーブを掘るという表現がされたりします。

最初はイノベーターやアーリーアダプターの利用者が徐々に増えるだけなのですが、そこから徐々にマジョリティ層に利用が拡大した時、サービスの普及率が一気に増えます。

それに伴い、最初は売上が立たない時期が続きキャッシュフローもマイナスが続きます。そして普及率が跳ね上がったタイミングで一気にキャッシュフローもついてくるようになります。このモデルの例は、ネットメディアなどです。

この収益モデルの場合、深いJカーブ(キャッシュフローがマイナスとなる長い時期)を支えるためには、VCによるファイナンスが適しています。創業メンバーからの持ち出しや銀行からの借入だと、金額に限度があったり、条件的に調達が難しいためです。 

www.find-job.net

成功した事業であれば確かにJカーブなのですが、失敗している事業だとJカーブを描けずにそのまま一直線に廃業まで進んでしまいます。

僕自身はこういったJカーブを掘らずとも、ユーザーが求めるコンテンツを提供できればストック型で積み上げることができると考えており、初年度から黒字になるように事業準備するのがよいと考えています。大企業のサラリーマンであれば、会社員というローリスク・ローリターンの部分に時間の大半を割きながらも、週末起業的にハイリスク・ハイリターンを目指すというのは人生の安定を享受しながらも、ハイリターンの夢を追うことのできる選択肢だと思っており、おすすめしています。

blog.zerotoone.jp

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売却するつもりのビジネスは廃却されることになる

必要なのは、出口戦略ではなく関わっていくための戦略だ。船から逃げ出す方法ではなく、プロジェクトを成長させ、成功させる方法を考えるべきだ。やめることを前提にした戦略では、そもそもチャンスがあっても成功できないだろう。

僕自身は次回の起業もM&A狙いなのでちょっと耳が痛い話でした笑

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本書では買収されたいと思って会社を作ると、間違ったことを強調してしまうし、会社を買ってくれる人の方を気にしてしまい、ユーザーの方を見ていない事業になってしまうと指摘しています。

その上、僕が完全にそうなのですが、一度会社を売却した経営者は売却後もすぐに起業して戻ってくるし、2回目の起業は得てして1回目の起業よりもよいサービスにならないと書いています。

実際にその通りだし、僕自身もすぐにゲームに戻ろうとしているので、この本に書いてあるとおりにならないように頑張らないとなと思っています。一方で本書にも書いてある通り、一度成功した起業家の成功確率は、一般的な成功確率よりも高いと言われています。

ハーヴァード・ビジネススクールのある調査によると、一度成功した起業家は次もうんと成功しやすい(次に成功する確率は34%)。しかし最初に失敗した起業家が次に成功する確率は、はじめて起業する人と同じでたったの23%だ。

僕の最初の起業を一応成功と捉えると、2回目の起業も悪くない成果を収められるんじゃないかなーと思っています。 

競合相手が何をしているのかなんて気にしない

結論として、強豪相手に対して注意を向ける価値はあまりない。なぜなら他社について心配することはすぐに強迫観念に変わってしまうからだ。彼らは今何をしているのだろう?彼らは次にどこへ向かうのだろう?僕らはどのように対応したらいいのか?

最近、ブログやTwitterを通じて起業志望の方と話したりするのですが、多くの人がメルカリやUberなど世界を変えるプロダクトを作ろうとするあまり、二の足を踏んでしまっていることが少なくないと感じています。そういった人の多くが事業領域の巨人やイケてるスタートアップを気にしすぎてしまいます。例えば僕は新卒採用を中心とした人材系ビジネスを展開しており、次回も人材系ビジネスをやろうと思っていますが、そうなるとリクルートやWantedlyを必要以上に気にする人が多いように思います。そういった人とは話をする時に、僕の目線はだいぶ低いですよってのを伝えてから話をするようにしています。

僕としては起業する時に、3人で粗利1億円もあれば十分ハッピーな会社になるという話をしています。次に作る会社も数年以内に少人数で粗利1億円、営業利益数千万円レベルの事業を作り、人を投下すると成長できるフェーズになったら売却、調達含めて検討するって感じで今は考えています。粗利1億円を狙うのに必要なのはマーケット選定や競合を気にすることではなく、自分たちが提供できる価値は何なのか、それを求める人はどの程度いて、そのうちどのくらいの人と接点を持てるのかということです。

なので起業志望の人にも、「あなたは何ができるのか」もしくは「何ができるようになりたくて、そのための努力をどの程度つめるのか」ということから考えると事業をフラットに生み出しやすいという感じでアドバイスしています。

最後に

ざっと紹介しましたが、自分の人生をコントロールしたい、そのための手段としてIPOを狙うといった大きな起業ではなく、スモールに起業したいと考えている人にとってこの本は非常に示唆に富んだ内容になっています。また一度起業した人にとっても考えを改めさせられるきっかけになる本だと思いますので興味がでたらぜひ読んでみてください。

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

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起業するなら退路は断たずに複数用意しておこう

起業をするだけでなく、何かを始める時に「背水の陣」や「退路を断つ覚悟」を求める人が多いように感じています。しかし僕はリスクを取るなら退路を断つよりも、退路を確保した上で挑戦したほうがプラスになると考えています。過去にはこんなつぶやきをしています。

 

僕はどちらかというとリスク許容度が低めで、小物っぽく物事を考えるので余計にそう思うのかもしれません。僕自身もある程度退路を確保した上で起業して運良く結果が出たなと思うので経験も含めて自分の考えを整理しておきたいと思います。僕の起業についての考え方は下記も参考にしてみてください。

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退路を断つとパフォーマンスは上がるのか?

そもそも「退路を断つとパフォーマンスが上がる」という点について僕は懐疑的です。出るかもわからない火事場の馬鹿力に期待するぐらいなら、追い込まれないでも発揮できる基礎能力を高めた方がいいと思っています。

退路を断ってしまうとうまくいかないときに焦りが生まれます。思った通りに売上が断たない、費用がかさむなど起業すると想定外のことが多く起こります。

成績の出ない営業マンが焦って一発逆転のホームランを狙って、大振りを繰り返し、ヒットが出ずにどツボにはまるというのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。中長期的に成果をあげつづける上で大事なのは、日々何を積み重ねるかといえます。焦ってしまうと、大振りになり全く成果が出ないか、短期的な売上を志向してしまい、中長期的な結果が出にくくなります。 

僕としては退路を確保することでサービスに深く向き合うことができ、中長期的に心穏やかにサービスや事業に向き合えるのではないかと思っています。

一方でVCはビジネスモデル上、投資先の起業家に退路を断ってホームランを打つことを求めます。VCは投資先を分散することでポートフォリオを組み、リスクを分散しているため、個々の投資先には全力でホームランを打つことを求めます。VCの人が起業家は退路を断つべきと主張するのはポジショントークであるということを理解しておくことはそのポートフォリオに組み込まれることになる起業家にとって大事なことだと思います。

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僕が確保した退路

失敗しても起業による借金はないし、僕らが起業した2011年はソーシャルゲーム全盛期でDeNAやグリーが絶好調の時期でした。総合商社やコンサル業界の人が多く転職していたこともあり、学歴もあり、ファーストキャリアで総合商社だったので、失敗しても年収600万円くらいでこれらの企業が採用してくれるだろうと考えていました。その時は一旦就職してWeb系の知識を仕入れながら次の起業のために牙を磨けばいいかなーと思っていました。

また半年分くらいの生活費は常に確保していたので会社を畳んでも半年間は転職活動が長引いても生活できるようにしていました。

ちなみに僕の共同創業者はかなり楽観的だったのか、「最悪、松屋で深夜バイトすれば時給高いし生きてはいけるでしょ」って感じでした。(そうは言っても彼も実家が神奈川にあったり、学歴も職歴的にも転職ができそうな感じでした)

退路を確保しリスクとリターンを冷静に踏まえて起業に踏み切るべき

成功している経営者の多くが、退路を断って頑張ったという話をしながらも紐解いてみると、学歴や職歴があって退路が確保されていた、実家がお金持ちでそもそも背水の陣ではなかったなんてケースは少なくないように思います。

nanapiのけんすうさんも退路があった上での起業だったことをほのめかしています。

独身でしたし、実家が東京だったので、実家に戻れば給与もそんなになくてもいけましたし、2年くらいやって失敗しても、勤めていたリクルート社は拾ってくれるんじゃないか、という余裕もありました。

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退路があるからこそ心穏やかに、大胆な選択肢を取れるというのが僕が考えていることです。

最後に

退路を断つ、背水の陣ってなんだか謎のパワーを秘めてそうで、手を出したくなるしアドバイスする人も無責任にしてしまいがちです。しかし自分の人生に責任を持てるのは自分だけだし、リスクを取るのであれば冷静にリスクとリターンおよび最悪のケースを想定して行動したほうがよいと思っています。起業を検討している人も、なかなか踏み出せていない人も、退路については十分に用意した上で心穏やかに起業に向き合ってみてほしいと思います。

学生起業はリスクのない美味しい選択肢だと思う理由と実践的なやり方

学生起業と聞くと胡散臭い、意識が高すぎて近寄りがたいなどネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれません。僕自身、意識があまり高くない大学生活を送ってきたのですが、実際に起業して会社をM&Aで売却できてから自分を振り返ってみると、大学生時代に起業にふれておけばよかったと少し後悔しています。

僕自身の起業に対するスタンスとしてはカネ目当てでもOKだし、こんなサービスがあればユーザーが集まるだろうぐらいの軽い気持ちで起業する人がもっと増えてもいいと思っています。

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今回は起業の中でもリスクがなくリターンは非常に大きい学生起業について、僕が考えていることを整理したいと思います。前段が少し長くなってしまったので、御託はいいから実践的なやり方だけ知りたいという方は「学生起業の強み」もしくは「学生起業のやり方」から読んで下さい。

学生起業がリスクのない美味しい選択肢だと思う理由

結局、「成功すれば大金持ちになれて、失敗しても就職のいいネタになる」ということに尽きます。コストをかけずに起業することが出来る時代なので、借金をせずに低いコストで運営すれば失うお金は限定的です。下記のブログで紹介している7つのことを実践すればリスクはほぼないと言っていいレベルです。

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それに対してリターンは非常に大きく、実際に学生起業で大成功を収めて、数十億円〜数百億円の資産を築いた人もいます。(学生起業で成功した人は後ほど紹介します。)最近は大企業によるスタートアップのM&Aも盛んになってきており、起業した後の出口も広がってきています。

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たとえ学生起業で失敗したとしても真剣に取り組んだ経験は就職の際にはよいネタになります。起業も自立して考えて行動のできる人材を求めていると盛んに発信しており、起業の経験があることは就職の際に大きなプラスになるでしょう。

リスクが限りなく低く、リターンは計り知れないほど大きいとなったら、できない理由はあっても、やらない理由はないよなというのが最近の僕の考えです。

 

やってはいけない学生起業

一方で学生起業というと、Twitterなどで盛んに投資の勧誘をしたり、マルチ商法や情報商材にはまって高額のお金を払いながら黒歴史を量産してしまう人も少なくありません。下記のブログで紹介されてる若人みたいな行動をしてはいけません。

syakkin-dama.hatenablog.com

要するに「肝心のコアバリューは誰か他人が考えたものを代理販売する」というものに手を出してはいけません。投資勧誘もマルチ商法も情報商材も、自分でやることは代理販売することで、商品を作らなくていいから自分でもできるのではないかと思って参入してしまい痛い目を見ます。提供すべき価値、コアバリューを自分で作るつもりがないのにお金欲しさで手軽な方法に飛び乗ってはいけません。ここだけは肝に銘じてほしいと思います。

学生起業の強み

水を差してしまいましたが、ここからは学生起業のいいところを伝えていきます。学生起業の強みは3つだと考えており、①バーンレートが低いこと、②優秀な協力者を集めやすいこと、③副業的に始めるなら社会人よりも時間が取れることの3点です。それぞれ見ていきましょう。

①バーンレートが低いこと 

バーンレートとは毎月どの程度お金を使うのか、その金額のことで、バーンレートが低いというのは企業として毎月使うお金が少ないことを指します。

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先日、この記事でスタートアップ社長の給料について、資金調達する前は20万円〜30万円という話をしました。

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これはあくまで社会人を数年経験した後に起業した場合の給料であり、学生起業の場合は給料が最悪0でも問題ない人も多いのではないでしょうか。0はこまるけど月間のアルバイトと同程度の給料でよいのであれば月間10万円も貰えれば十分でしょう。学生起業はその差額を広告費用であったり、外注費であったり、採用であったりと他の様々な用途に使うことができるため、プロダクトをより早く成長させることができます。

このように学生起業は給料が低くてもOKな場合が多く、社会人が始めるスタートアップに比べてバーンレートが低いことが挙げられます。

②優秀な協力者を集めやすいこと

僕らの会社でも多くの学生アルバイトを採用していますが、優秀な学生は本当に優秀です。学生であればこのような優秀な学生と比較的簡単につながることができ、優秀な協力者を集めやすいのではないでしょうか。直接の友人ではないけれど友人の友人がベンチャー企業でエンジニアとしてインターンしている、マーケティングの知識があるなどたどれば優秀な協力者にたどり着くのではないでしょう。

これが社会人になると、優秀な社員やアルバイトを探そうにも、求人媒体やエージェントを介す必要があり、またお金がかかってしまうことが少なくありません。

③副業的に始めるなら社会人よりも時間が取れること

僕自身としては、起業初年度から黒字化するために最初は副業的にプロダクトの開発を進めていき、いけそうだと思った段階で起業に踏み切ることをオススメしています。

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社会人の場合は勤務時間があるので、勤務前後の時間と土日しか時間をとることができません。一方で大学生であれば既に単位を取り終えていたり授業を調整することで時間を確保出来る人も多いでしょう。自由になる時間はサラリーマンの社会人よりもかなり多く確保できると思います。

 

学生起業のやり方

ここからは実際にそもそもどうやって進めていけばいいのか、どの分野で起業すべきなのか考え方の方向性を示したいと思います。

やるべきことはユーザーが好きになるものを作ること、支出を収入より少なくすること

「起業する」ってなるとすごく大変そうで、ファイナンス関係の知識やら法律関係の知識やら本業以外にも必要な知識が多いと身構えてしまう人も多いのですがそんなことはありません。下記のTweetの通り、やるべきことは多くありません。

こちらはY Combinatorというスタートアップに対する投資を行うベンチャーキャピタルを立ち上げたポール・グラハムという人の名言です。この言葉どおり、やるべきことは人が好きになるものを作って、支出を収入より少なくすればOKです。

会社経営について小難しくファイナンスの知識などをひけらかすタイプの経営者や財務担当社もいますが、基本的に多くの会社にとって必要な知識は家計簿レベルですみます。まずはスタートアップや起業に対する心理的障壁を下げましょう。

プログラミングができないならTECH::CAMPで学ぶべき

今の時代、インターネットは会社を作る上では不可欠といえます。インターネットの必要のないシンプルなサービスを提供するにしても自社サービスを紹介するページは用意した方がよいでしょう。エンジニアを雇うにしても、プログラミング知識があった方がやり取りがスムーズに進みます。最近はスタートアップのCEOがTECH::CAMPで学んだ上でエンジニアの人と起業するケースが僕の周りでも少なくありません。

もし学生起業に興味はあるけれども、プログラミングがまったくできないという場合はTECH::CAMPに通って基本的な知識をみにつけるべきだと思います。価格も社会人は128,000円のところ、学生は半額の64,000円ですみます。

▼お申込みはこちら

 

◆TECH::CAMP学生向け料金

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僕自身は起業してから独学でプログラミングを学びましたが何度も挫折しそうになりました。

blog.zerotoone.jp

実際にプログラミングスクールに通おうか検討したこともありますが、当時は金額も50万円程度と高額で、信頼できるスクールがないという状況だったため、上記のブログの通り様々な本やサービスを利用して勉強しました。

一方で挫折しそうになったことも少なくなく、聞けば一瞬で解決しそうな問題に3日間悩み続けるといったこともしていました。TECH::CAMPであればスクール形式で通い、卒業生のインターンが常にスクールにいるため、わからないことは聞きながら進めることができます。オンラインコースのみを扱うプログラミングスクールもあり、僕自身も体験してみたことがありますが、やっぱり直接会話し、PCの画面を見せながら習った方が効率がよいと感じます。

▼お申込みはこちら

プログラミングスキルは今後のキャリアにとってもマイナスにはならないので、学生起業するのであれば身につけておくべきスキルだと思っています。

起業する分野は趣味・好きなことをどうマネタイズするか考えるのがいいかも

次に起業する分野についてですが、これについては、趣味や好きなことをどうマネタイズするのか考えるのが一番いいかもしれません。

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上記のブログの通り、ビジネスモデルを考える上では、「誰の」、「どんな予算を」、「どうひっくり返すか」考えるのが王道です。自分が好きなことや趣味で、どんなことにお金をかけており、それを自社のサービスでどうひっくり返すのか考えると考えやすいといえます。例えば、ダンスが好きでこれまではダンスのhow to動画をビデオやDVDで購入していたけど、このhow to動画を実際にダンスがうまい知り合いと一緒に撮り、動画としてWebサイト上にアップロードすればいいんじゃないかといった考え方でアイディアを洗練させていくイメージです。

それでも思いつかないならあなたが詳しい分野でメディアを作ろう

もし何もアイディアは思いつかないけど、プロダクトは作りたいし、学生起業もしたいというのであればあなたが詳しいニッチな分野でWebメディアを作ることをオススメします。

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上記ブログでも書きましたが、2017年5月30日に上場したGameWithという会社はゲーム攻略サイトを運営する企業です。このようにWebメディアを運営する企業がうまくいけば上場までしてしまいます。また問題になりましたが、女性ファッションWebメディアmeryも、DeNAに数十億円単位でM&Aされています。

スマートフォンの普及率が高まり、多くの人がインターネットで検索をする時代になったため、Web上のコンテンツが多く求められています。大きな市場については大企業や有名スタートアップが取りにいっていますが、ニッチな分野、ジャンル特化型のWebサイトはまだまだ勝機があるように思います。自分が詳しいことや今後極めていきたい分野のWebメディアを立ち上げるのは、アイディアもそこまで必要なく取り組める分野ではないでしょうか。

学生起業で成功した有名起業家たち

最後に学生起業から上場まで経験した有名起業家の紹介をしたいと思います。

ライブドア堀江貴文さん

学生起業家といえば彼というほど有名な堀江さん。1996年東京大学在学中にライブドアの前身のオン・ザ・エッヂを設立しています。インターネット黎明期にHPの作成、運営管理を行う会社として有名になり大手企業からも受注するなど順調な滑り出しから、2000年に東証マザーズに上場しました。

mixi笠原健治さん

SNSサービスmixiおよびソーシャルゲームのモンスターストライクが有名なmixiの笠原さんも、東京大学在学中の1999年にmixiの前身である有限会社イー・マーキュリーを設立しました。当初は求人情報サイトのFind Job!がメインの会社でしたが、2004年にSNSサービスのmixiを開設しました。

リブセンス村上太一さん

史上最年少で上場した経験のあるリブセンス村上さんも早稲田大学在学中に起業しています。早稲田大学1年生の時に大学の「ベンチャー起業家養成基礎講座」が実施したビジネスプランコンテストで優勝し、同大学のインキュベーションオフィスからスタートしています。

Gunosy福島良典さん

ニュースアプリGunosyの福島さんも東京大学在学中の2012年にGunosyを立ち上げ、社長に就任しています。その後、有名起業家兼投資家の木村新司さんが経営に参画することで一気にマネタイズが進み、会社設立からわずか3年で上場してしまいました。

メタップス佐藤航陽さん

インターネットサービスを幅広く展開するメタップスの佐藤さんも早稲田大学在学中にメタップスの前身であるイーファクターを設立しています。

最後に

ここまで学生起業について、選択肢として美味しい理由から実際に学生起業をやるとしたらどうするのかまでまとめてきました。大きなお金をかけずに学生起業をすれば、たとえ失敗したとしてもその経験は就職活動だけでなく大きなプラスになると思っています。これを読んで一人でも多くの人がチャレンジしてくれればうれしいです。

AbemaTVとクラシルから考えるビジネスの最先端を切り開くということ

サイバーエージェントのAbemaTVは最近何かと話題になることが多いサービスで、個人的に藤田社長は尊敬している経営者の一人であるため注目しています。

一方でAbemaTVに対しては2016年度で100億円の赤字、2017年度で200億円の赤字と大規模な先行投資を行うことに対して懐疑的な見方も少なくありません。2ちゃんねるの創設者のひろゆき氏はテレビ番組でAbemaTVが構造的に失敗すると話しています。

netgeek.biz

今回は最近盛り上がりを見せる動画Webサービスとそれに対する評論から感じたこと、考えたことをつらつらと書きたいと思います。

AbemaTVを展開する藤田社長のひろゆき氏への反論

ひろゆき氏がAbemaTVが失敗すると考えたのは、「サーバーは設備投資であり、一度投資してしまうとその後ずっとコストがかかり続けるためコスト的に継続が難しい」ということのようです。

これに対してはTwitterで藤田社長が下記のように反論しています。

昔はネットサービスを運営するにもサーバーを自宅に設置して運用していたために、サーバー費用がコストとして非常に重いものだったようです。Pixivの創業者である片桐氏はサーバーの費用に関して下記のように語っています。

2007年9月にpixivができて、すぐに人気になってしまったのでサーバーが必要で。でも、サーバーを買う金がない。銀行からお金も借りれないし、ベンチャーキャピタルも時間がかかりそうだし、どうしよっかなぁと思ったんですね。
そのときにネットを見てたら、Googleの初期サーバーが載っていたんです。それがもう、ベニヤの上にパソコンの部品を乗せてただけだったんですよ。これだったら、1台4万円くらいでできるなと思って。
でも、4万円もない。しかも必要なのは、10〜20台なので、4万円といっても、50万円くらい必要だったんです。それがないと、pixivを運営できない。
考えた末に、消費者金融を4社回って、200万くらいゲットしました。VCも銀行も時間がかかるじゃないですか。消費者金融はその日中なんで、現金を持ってそのままアキバへ行って、部品を買って。そして、サーバーを作ったんですよ。そして、消費者金融からの催促は無視する(笑)。これで半年間持ち堪えました。

logmi.jp

わずか10年前はサーバーを自前で準備する必要があり、アクセスが集中すればサーバーを増やして設備投資をして対応する必要がありました。またクラウドでのサーバーの維持費用はかなり安くなっています。

僕が素人ながら運営していた時代のUnistyle株式会社では、月額4000円弱のさくらVPSの4Gでピーク時の月間PV300万弱、年間登録者数3万人弱をさばいていました。そのため年間の売上に占めるサーバー費用は無視してもいいレベルでした。

現在はAWSであれば、サーバーを増やすのもクラウド上で少し操作するだけで可能になります。ビジネスの前提がどんどん変化しており、すぐに一昔前の常識が陳腐化するのがネット業界の面白いところであり、大変なとこだなと思います。

僕自身もクラシルのビジネスモデルに関して下記のようにコメントしましたが、delyの堀江さんによると実際には動画原価のコストはそこまで高くないようです。

ビジネスモデル的にはクックパッドというよりも、gunosyが近いのかなと勝手に思っており、他社の媒体を収集すればgunosyに比べると料理動画を内製する必要があるため、原価が高くなるので営業利益率はちょっと低めにでるのでは?と勝手に思ってます。

blog.zerotoone.jp

クラウド上で動画を提供するサービスが盛り上がり始めたのはここ数年であり、どの程度のアクセスまで耐えられるのか、どの程度のコストがかかるのかなど、最先端の知識というのはまだまだ共有されていません。このビジネスモデルが成功するかはわからない状況ですが、切り開いている当事者の彼らにしか見えてない景色が存在するんだろうなと思います。

 

ネットサービスがテレビCMをする時代を切り開いたのはグリー

今では資金調達した資金の当然の投下先としてテレビCMは当たり前の選択肢となりましたが、その時代を切り開いたのは個人的にはグリーだと思っていて、2008年5月にニュースリリースで初のTV CMを全国放映開始することを伝えています。

corp.gree.net

そこからDeNAも参入し、2010年には日経新聞でテレビCMに想定外の新顔が現れたとして、グリーとDeNAが花王やサントリーに匹敵する広告主として登場したことを驚きを持って伝えています。当時はリーマン・ショック後でもともとテレビ露出が盛んだったトヨタ、サントリー、花王などの広告主が広告費を絞る中で、非常に安い価格で広告出稿が可能だったという追い風もあり、広告効果は非常に高かったそうです。

www.nikkei.com

グリーやDeNAの成功体験もあり、当時から比べると広告出稿の価格は上がっているとかんがえられるものの、今ではネットサービスをテレビCMで宣伝することはマス層を安価に獲得する方法として認知されています。積極的にテレビCMを展開をしているグノシーはテレビCM効果もあり、アプリダウンロードのCPA(顧客獲得単価)が200円程度です。

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画像出典:Gunosy 2017年度第三四半期決算説明資料より

 

後から考えるといくらでも、「テレビCMはマス層にリーチするのに最適な手段で〜」とか「テレビCMによるCPAは実はリスティングより安いケースが〜」などなど後付でいくらでも言うことができるのですが、それもグリーがビジネスの最先端を切り開く行動をしたからこそだといえます。

前述のAbemaTVとクラシルの例を見ていても、今後のスタンダートになるようなビジネス・施策に関わり、最先端を切り開いていくのは苦しいながらも、経営者・ビジネスマンとしては非常に面白いこと、幸せなことだろうなと思います。

最後に

僕自身は行動することが全てで評論家はダメだとも思いません。実際にひろゆき氏がAbemaTVについて語ってくれたからこそ、いやいや実際はこうなんですよと、当事者である藤田さんからの発言が得られて社会的に認識が広まった結果となったと思っています。個人的にはビジネスの話は趣味であり、こういったやり取りには知的好奇心が刺激されるので、非常にありがたいし今後も活発に評論家と当事者が適切にコミュニケーションしてほしいと思います。

一方でそれでも僕としてはビジネスに関わるのであれば、当事者として小さな領域でもよいので切り開く側にいたい気持ちが強いです。このネット動画領域については僕自身は評論家になってしまいがちですが、今後もビジネスの行方を楽しく見守りたいと思います。

スタートアップ社長の給料の現実と海外の事例

先日SNS経由でこの記事を読みました。

kenshinfujiwara.com

非常に整理されており勉強になったとともに、僕ら自身が起業した当初も役員報酬で苦労した経験があったので、思い出とともに調べたことを整理したいと思います。

スタートアップの社長の給料は調達前20〜30万円、調達後は50〜100万円

上記のブログにも書いてある通り、スタートアップの社長の給料は調達前で20〜30万円、調達後は50〜100万円と言われています。nanapiのけんすうさんもブログで同様のことを書いています。

いきなり結論を書いてしまうと「20万〜30万」じゃないかと思います。都内では、30万あれば、だいたい快適に暮らせます。20万でも全然快適だと思いますが、社長とか役員になると、外との交流も必要なので、余裕を持って30万というのがいいんじゃないかと。
うちの会社でも、他の会社でもこのあたりが多かったので、そうかなあ、と。

(中略)

もちろんこれは初期の話で、資金調達を億単位でするようになると、もう少し増やすケースが多いです。50万〜100万くらいにするケースが多いのかな?

thefirstpenguin.jp

ユーザベース、NewsPicksの創業者梅田さんもコメントで下記のようにコメントしています。

うちの場合は創業から下記のような感じです。重要なのは役員も含めて給与をオープンにして会社の成長と各自の報酬を含めた成長が連動する。すなわち「Growth Together」を会社の仕組みとして明確にする事の方が大切。
2008年〜2009年:10万円-20万円
2010年〜2012年:30万円
2013年〜2014年:108万円

newspicks.com

 

会計ソフトfreeeを提供するFreee株式会社の佐々木さんはもっと尖っており、1〜2年目までは給料が5万円だったようです。

佐々木 すごいもらってました。楽だし(笑)。すごいぬるい人生送ってたんですけど。でも、僕は起業したときは、最初1〜2年目の自分の給料は5万円。
小野 月5万円ですか? 熱いですね! お小遣いじゃないですよね?(笑)。
佐々木 役員報酬は、1年間変えちゃいけないんですよ。だから、もう5万円と書いて。それはもう、年金事務所に行って「すいません。保険料一番安くしたいんですけど、いくらがいいですかね?」と言ったら、「5万円がいいんじゃないですか」と言われて。

logmi.jp

駐車場のシェアリングサービスを提供するakippaでは18万5千円、社員番号5番目の副社長が20万円からスタートしたようです。

金谷 うちの場合は、前職がもともとみんな低いところを流れた人間なので、入ったときは18万5000円とかです。
副社長が社員ナンバー5番で、今、人事やってるんですけど。だいたい20万ぐらいですかね。それで、だんだん昇給していくというか、成果に合わせて上がっていくというかたちです。今はたぶん、けっこうもらってると思います。

logmi.jp

ファッションコーディネートアプリを提供するVASILYはノリで決めて25万円だったそうです。

金山 僕ら、創業のときは2人とも25万。
小野 25万!?
金山 ノリで決めてました。当時30歳で結婚もしてましたけど、もう25万と。

logmi.jp

先日のブログでも書いた中小企業庁が発表している資料にも、起業3年後の社長の給料について言及がありますが、月額20万円以下が約40%、月額40万円以下で約65%と上記の調達前の給料に近い水準となっています。

blog.zerotoone.jp

 

調達後に給料を上げる理由

調達後に給料を上げる理由について、両ブログで書かれていたことをまとめると以下のようになります。

社長のモチベーション・体調維持

資金を提供したVCにとって一番のリスクは投資先のスタートアップの社長が戦意を喪失して事業を投げ出してしまうことです。多くのスタートアップは事業アイディアの多くを社長に依存しており、その社長が抜けてしまうことはそのスタートアップが潰れてしまうことと同義であることが少なくないからです。

モチベーション維持に影響のあるものとして、社長自身が他の会社に転職すればもっと稼げてしまう、自分より給料をもらっている社員がたくさんいる、安いものばかり食べていると精神衛生上も体調管理上もよくないなどが挙げられています。

株の買い戻しイベントに備える

冒頭で紹介したブログでは株の買い戻しイベントに備えて社長にそれなりの資金力を備えさせるべきとありました。この点に関しては個人的には、①そもそも社長の手取りを100万円にしたぐらいだと、社員の離脱時に買い戻しはできてもVCからの買い戻しはきついこと、②株主間契約などで予め縛ることができそうの2点疑問が残ります。

①については簡単な計算でわかるのですが、ざっくりスタートアップの資金調達では、会社の価値を3億円と算定して、その10%をVCに渡すので、3000万円を会社に入れてくださいって感じになります。VCもステージに応じて投資した額に対するリターンは変わるのですが、買い戻しをするとなれば、当初の3億円3000万円という金額では買い戻しをさせてくれません。半分買い戻すとしても1500万円以上が必要になります。なのでいくら社長の給料をあげたところで結構厳しいんじゃないかなーというのが気になります。もちろんある程度給与があれば銀行借入ができるというのは言えるかもしれません。実際に知り合いの経営者で結構な金額の銀行借入を行い、株の買い戻しを行ったという話を聞きます。

②については共同創業者や社員に株を渡す際には株主間契約である程度縛りを入れることができます。近年では「1 year cliff, 4 year vesting」というスケジュールが一般的なようです。

その一定期間(=スケジュール)が、典型的には「1 year cliff, 4 year vesting」といわれるものでして、これは、

 (1) 1年間働いたら、全体の4分の1が、会社の買戻権から外れる(=その後会社を去っても、会社から買い戻されることはなくなる)

 (2) 1年間後は、1ヶ月経つごとに、全体の48分の1が会社の買戻権から外れる。

 (3) 最終的に、満4年で、全部が会社の買戻権から外れる(晴れて、完全無欠の株主になる)。

ということを意味しています。

 

www.bizlawinfo.jp

このような形で株の買い戻しについては、そもそものバリエーション的に社長の給料をあげても対処が難しく、対処するのであれば創業者間契約で縛るのがよいと思うのであまり給与には影響しないのかなーと個人的には思っています。

 

海外のスタートアップCEOの給料水準

海外のスタートアップCEOも同様な傾向にあるといえます。下記は調達額に応じたスタートアップ創業者の給与の平均を表したものです。日本と似たような環境にあるといえますが、上記で紹介したブログよりも調達金額に応じた金額が出ており参考になります。調達したから50万円-100万円というよりは、調達金額に応じて適切な給与を考えましょうという形になっています。このグラフを見る限りは1億円以上調達するまでは、月額30万円の年収360万円というのがスタートアップ社長の平均的な給与水準になりそうです。

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画像出典:

thenextweb.com

上記の記事では、資金調達金額ごと以外にも製品の開発段階ごとや各都市ごとのスタートアップ創業者の給料のグラフがあるので興味がある人はぜひ見てみてください。

 

資金調達しないまま売却した僕らのケース

最後に思い出話をすると、創業1年目は、役員報酬には結構苦労しました。そもそもいくら儲かるのかわからないのに、役員報酬は一度決めると変更が極めて面倒なものです。

僕らの場合初年度は最初はセオリー通り月額30万円の予定で進めていたものの、(どうやら初月の調子がよかったので調子にのって40万円で設定したものの)思った以上に進捗が悪く、期中で月額10万円に減額することを決めて手続きを取りました。共同創業者の指摘で気づきましたが、30万円じゃなくて40万円だったんですね。。。

しかし役員報酬については減額でも原則的には認められていません。

役員報酬を事業年度の途中で減額したい場合、国税庁では「経営状況の悪化に伴なって、株主や債権者、取引先等との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じている場合」は特別に減額し、損金に算入することができるとしています。
しかし、事業年度の途中での役員報酬の変更は、減額であっても原則は認められてはいません。

subaru-juku.com

このままだと会社経営的にまずそうなので上記の「経営状況の悪化に伴なって、株主や債権者、取引先等との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じている場合」に該当するとして、役員報酬を減額したことがあります。ちなみに役員報酬の増額はできますが、増額分は全て損金不算入です。今年は思った以上に儲かりそうだから役員報酬を増額して税金の支払いを少なくしようみたいなことはできない仕組みになっています。

2年目以後は事業年度開始後、3ヶ月以内に役員報酬の変更を行うことができるというルールに則り、事業年度開始3ヶ月の初速を見て、どの程度の売上になりそうなのかを予測し役員報酬を決定していました。

4年目からはだいぶ安定して利益がかなり出るようになったのでざっくり決めるようになりましたが、3年目ぐらいまでは最初の3ヶ月の動きを見て、かなり慎重に役員報酬を決定していたのが懐かしいです。

会社経営をしていると、銀行残高的に自分たちに給料が払えないなんてケースは少なくありません。その場合は会社に経営者が貸付を行い、未払金として計上します。nanapiのけんすうさんでもそんなことがあったのかと思うと当時を思い出して感慨深いです。

うちの会社でも、他の会社でもこのあたりが多かったので、そうかなあ、と。ちなみに払えない時は、払っていませんでした。会社への貸付という形になります。儲かったら返してもらえばいいわけです。

thefirstpenguin.jp

最後に

インターネット系のスタートアップはほとんどが人件費で消えていきます。そのため役員報酬をいくらにするのかは非常に重要な判断になります。少なすぎれば生活していけず、かといって多すぎると会社が成功する前に潰れてしまうという悩ましい問題です。役員報酬だけでなくスタートアップで起きる問題についてはセオリーはありながらも実際には自分たちの状況に応じて、自分なりに仮説立てて、最後はえいやで設定するしかないんでしょうね。

年間の起業件数は5万社、資金調達は1000社など起業にまつわる数字の話

先日、日本の未上場のベンチャー企業の2016年の資金調達額が2000億円を突破し、2006年度以後で最高額となったというニュースがありました。

jp.techcrunch.com

今回は、そもそも年間の起業件数やその中で資金調達できる企業数など、起業にまつわる数字について個人的なメモとしてまとめようと思いブログ書きました。全体像をつかむための参考にしてもらえればと思います。

 

年間起業件数は約5万社

中小企業庁のデータによると年間の起業件数は約20万件(下記PDFのP182起業の担い手より)、そのうち会社化したものが24%(下記PDFのP199起業の形態より)とのことなので、年間の法人の起業件数は5万社と考えられます。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/07Hakusyo_part3_chap2_web.pdf

なお、起業3年後の経営者の手取り収入は月額40万円以下で半数以上と若干厳し目の状況が伺えます。もちろん会社経費での飲食など節税をしているものと思われますが。

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ベンチャーの年間の資金調達件数は約1000社

日本の未公開ベンチャーの資金調達件数は大体1000社程度で推移しています。

以下の記事によると、ベンチャーの資金調達は、3年ぶりに1000件を割り込み、979件となったようです。

jp.techcrunch.com

 

ベンチャー白書2016のベンチャー投資実行の国際比較を見ると、件数・金額ともにアメリカがダントツに多いものの、中国が件数・金額ともに急成長していることが伺えます。そのような中で日本は安定的に1000件前後のベンチャー投資が行われているようです。

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画像出典元:ベンチャー白書2016(http://www.vec.or.jp/wordpress/wp-content/files/2016_VECYEARBOOK_JP_VNEWS_09.pdf

 

前述の年間の起業件数が5万件とすると、その中でも2%の起業しかベンチャーキャピタルから投資を受けることはできません。ベンチャーキャピタルから投資を受けるというのは起業した中でも一握りの存在といえます。

 

M&Aの件数は2000件程度で推移

ベンチャー投資に対して、近年はM&Aの件数は2000件弱程度で推移しているようです。

 

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 画像出典:グラフで見るM&A | M&A情報・データサイト MARR Online(マールオンライン)

 

社数ベースではベンチャー投資よりも多いのですが、M&A件数の多くはベンチャー企業の買収というよりも後継者不足からくる事業継承を含めたM&Aが多いようなので注意が必要です。以下は日本M&Aセンターが四半期で制約した譲渡起業の事業内容になります。

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画像出典:日本M&AセンターIR資料

https://www.nihon-ma.co.jp/ir/pdf/160428_presentation.pdf

 

一方でIT関連のベンチャー企業に対するM&Aの出口も確実に広がっており、起業後にM&Aという選択肢が見えてきたようにも思います。

blog.zerotoone.jp

blog.zerotoone.jp

 

新規上場(IPO)の社数は100件いかない程度

 

新規に株式を公開して上場する企業は2016年84件、2015年95件、2014年78件と100件に満たない数字で推移しています。年間の起業件数が5万社と考えると、0.2%未満の会社しか上場することができません。

 

最後に

以上、メモ的に起業にまつまる数字をまとめてみました。起業に関して全体像が見えると自分がどの立ち位置なのか、資金調達、M&Aや上場など目標としていることは現実的なのかなどが見えてくるので一度整理してみるのもよいと思います。